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預言者生誕祭「マウリド・ナビー」直前のスークで砂糖人形

更新日:2023年9月28日


ラマダーンや犠牲祭の盛大さには及びませんが、イスラム教のお祭りで重要なものの一つに預言者生誕祭「マウリド・アン=ナビー」があります。

預言者ムハンマドの誕生日を祝うお祭りで、ヒジュラ歴3月であるラビー・アウワル月12日に開催されます。2019年は11月9日でした。

マウリドの起源はファーティマ朝時代のエジプトと言われ、現在ではイスラム教徒が多数を占める各国では休日になります。しかしながらその雰囲気は各国で少しずつ様子が異なるようで、数ある国の中でもエジプトは特に派手で特徴的です。

エジプトではモスクの前などの広場からスーフィーの行列が出たり、預言者やイスラームを讃える詩が読まれたりします。

マウリドが近づくと、お菓子や人形を売るテントがあちこちに立ちます。

カイロ南部の「サイイダ・ザイナブ」は通りの両脇にびっしりテントが並び、多くの人々がマウリドのお菓子を求めて殺到します。

マウリドのお菓子は、ゴマやナッツを飴でかためた物や、ヌガーやマシュマロ、マルバン(ロクム)など、駄菓子っぽい。道端でも年中売っていますが、この時期は高級菓子店でも取り扱いますよ。

観光客にも人気のお菓子屋「アブド」なども、店から人があふれるほど混雑します。

そしてもう一つ、マウリドで忘れてはいけないのがドレスを着た女の子と、馬に乗った騎士の人形。女の子にはドレスを着た「アルーサ」、男の子には馬に乗った騎士「アリース」(またはホサーン)を買います。

伝統的には人形は砂糖で作られてきました。

この砂糖人形の由来は諸説ありますが、一番有名なのがファーティマ朝第6代カリフ「ハーキム」の時代に誕生したという話。

ハーキムと、白いドレスを着てジャスミンの花輪を頭につけた彼の妻が、マウリドの日に出かけたところ、ある菓子職人が彼らをモデルに砂糖で人形を作ったというのです。

現在は砂糖でできた人形はほとんど見かけなくなり、代わりにプラスチックでできた人形が主流となっています。

しかしながら2018年、突如として砂糖人形が復活。華やかなプラスチック人形の隙間に、素朴な砂糖人形がドッサリ積まれていました。

前の年まで探しても探しても、なかなか見つからなかった砂糖人形。

物価が上がりすぎて、高価な人形が買えない人が増えたのかな、なんて個人的には思いますが、どうなんだろう。

お菓子は一つずつに値段が付いている場合と、量り売りの場合があるので要確認。

まとまった量を買うときは贈り物用の箱もあります。

すごい種類がありそうですが、包装が違うだけとか、あちこちに同じお菓子があったりするので、冷静になりましょう。

音楽が爆音で響き、とにかくすごい人、人。

テレビが取材に来ていたり。

駄菓子をあれこれ選びながら箱に詰めるのって、何だか楽しい。

プラスチックの人形は、エジプトの物価から考えるとそこそこ高価なもの。

大きくてゴージャスなドレスの人形が多かった様に思いますが、年々サイズやコスチュームなどのバリエーションが増えました

カメラを持ってこういう場所を歩いていると、写真を撮ってくれと声をかけられることは珍しくありません。

お祭りの前の楽しい夜。

この日買ったお菓子。

スィムスィミーヤ(ゴマ)、ホンモセーヤ(イエロースピリット)、フーリーヤ(ピーナッツ)などの飴で固めた系やら、ヌガーやエシュタ(マシュマロみたい)、シャカッラマ(ココナッツのクッキー)などなど。

一番後ろの丸いのは、ピスタチオ。パリパリとした飴の食感と、濃厚なピスタチオがすこぶるおいしい。エジプトはナッツは高く、その中でもピスタチオは断トツなので、これは量り売りではありませんでした。

どこまで歩いてもカイロの喧噪は途切れることなく続くのです。


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