誰も教えてくれないセモリナ粉の話
- arabfood
- 7月27日
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アラブのお菓子でよく使われる材料にセモリナ粉があります。
日本では一般的に、デュラム小麦という、硬質の小麦を粗挽きにしたものがセモリナ粉と呼ばれているようです。パスタの原料になる、ちょっと黄色っぽい粉、と言うと、何となくイメージがわくでしょうか。
一方アラビア語でセモリナ粉は「サミード」といいます。アラブのサミードについては、以前(2010年!シリアに住んでいた時です)に記事にしたことがあります。
このセモリナ粉、実は日本語でのセモリナ粉と、アラビア語でのセモリナ粉(サミード)で意味する範囲が少しずれていて、使用する際には注意が必要なのです。
まず、日本で売られているセモリナ粉は、色は黄色で、粒の大きさは小麦粉のように細かいさらさらタイプ。

このタイプは、一般的にはアラビア語でサミードと呼びません。「タヒーン・ファルハ」と呼び、小麦粉(タヒーン)の仲間として意識されているようです。
アラビア語で「サミード」と言った場合、粒が大きめの粗挽きのタイプを意味します。

ざらざらとしています。
アラビア語のレシピで、「サミード」と出てきた場合は、普通はこのざらざらのセモリナ粉を使います。
しかし、ややこしいことに、サラサラの「タヒーン・ファルハ」を「細かいセモリナ(サミード・ナーイム)」と呼ぶこともあります。
今のところ、日本の一般的なお店(富澤商店など)で、ざらざらのセモリナ粉は見かけません。私はインドやパキスタンなどの食材を扱うお店で購入しています。いわゆるハラールショップですね。インドではセモリナは「スージ」などと呼ぶようです。逆に、ハラールショップでさらさらタイプのセモリナ(タヒーン・ファルハ)は見かけません。
改めて並べてみると、粒の大きさが全く異なることがわかります。

左端は薄力粉、真ん中は日本のセモリナ粉、右端は日本のハラールショップで購入したバングラディシュ産のセモリナです。

元々、セモリナとは、粗挽きの状態の粉のことを指すようで、必ずしもデュラム小麦である必要なないようです。しかし、現在では(少なくとも日本では)なぜか、デュラム小麦の粉をセモリナと呼ぶようです。
