香草がたっぷりの「ジェンガロブ・ハツ」を楽しんだら、何だか甘い物が食べたくなりました。
アルメニアのお菓子は、バクラワなどアラブ菓子とも似ているものも多いのですが、絶対に外せないのが「ガタ」。
歯触りのよいシンプルな生地に、砂糖、小麦粉、バターを混ぜた物を中に入れて焼きます。
生地はイーストを使ったり、パイ生地などを使用する場合、玉子やヨーグルトなどを入れるなど様々な方法がありますが、生地と詰め物の材料はほぼ同じで、配合が違うだけなので、不思議な一体感があります。
ガタは基本的には大きな円盤形なのですが、菱形に切り分けて焼いた物もよく見かけます。

さくっとしていますが、パイほどは軽くなく、食べ応えがあります。
切り口の砂糖がざくざくしておいしい。
そしてこの辺りの国のお菓子で忘れてはいけないのが「ナポレオン」。

パイ生地とクリームを重ねたミルフィーユのようなお菓子です。
私はてっきりこのナポレオンはロシアや旧ソ連のお菓子だと思っていたのです。ジョージアでオススメのお菓子を聞いたときも、「うーん、ナポレオンかな」なんて教えてくれたし、旅先で見かけるロシア食材屋さんでも、ナポレオンは必ずと言ってよいほど置いてあるのです。
しかしながら、ミルフィーユ的なお菓子には、英語圏やその他のかなり広い地域で「ナポレオン」という名前が使われているんですね。知らなかった~。
試しに各国の言語で「ナポレオン」と画像検索してみたら、それぞれ特徴が明確で面白い!
表面は木イチゴかな、赤いジャムが必ず塗られている国、粉砂糖の国、フォンダンの国。
パイ生地が上下2枚の国、真ん中にも挟む3枚の国。
正方形に切り分ける国、長方形の国。
そして日本はと言うと(ミルフィーユとナポレオン両方で検索)、必ずイチゴが使われているのです。確かに~。
そして、かわいいイチゴのミルフィーユの隙間に、豚バラと白菜のミルフィーユ鍋なる、めちゃくちゃおいしそうなものが混ざって和む。
気になるロシア語、アルメニア語ですが、他の国との違いは明確で、ミルクレープのようにパイ生地を何枚も使って仕上げています。そうそう(私の中での)ナポレオンってこれだわ。
パイ生地はサクサク、と言うよりも、しっとり。

ジョージアで食べたナポレオン。ミルクレープほどではないですが、他の国のナポレオンと比べて、パイの枚数が多く、クリームに覆われているのは共通しています。
似て非なるもの。こういう発見があるから面白い。
甘い物で満足したら、町をブラブラ。
そう言えば、4年前はエレバン中央駅の前に小さな市場があったはず、と思い出し行ってみることに。
あれ?全くその面影がない。もうなくなってしまったのかな、と思っていると…。

駅の脇に新しそうな建物が。

お、もしかしてここに移ったのかな。

午後の遅い時間だったからか、閉まっているブースもあり、人もまばらですが、買い物客がぽつぽついて、和やか。
前の野外の市場の時も、活気ある市場、と言うよりは、のんびりした雰囲気だった気がします。

スパイスあり、

パンあり。
こぢんまりした空間に、肉やチーズ、トイレットペーパーなどの雑貨もあり、使い勝手がよさそう。
昔からの市場がスーパーに変ったり、このように屋内にまとまったり。少し淋しい部分もありますが、時代の流れに合わせて変化していくことは必要だと思います。
もちろん全員が賛成する改革や変化はあり得ないのですが、あまりにも昔のままに固執すると、衰退していく場合が多いような気がします(改革したいけど、できない場合もありますが)。
夏は日差しが強く、冬は氷点下、そんな中、野外で商売するよりは、雨風防げる屋内で商売する方がいいよね、などと、当事者でない私が安易に考えるのは危険ですが、4年経って緩やかな変化を感じられたのは、よいことなのだと思います。たぶんエジプトに住んでいるからでしょうか。
そろそろアルメニアの旅行も終わり。
ちょっと気になっていたレストランに行ってみることに。
「Lavash Restaurant」。夕方の早い時間なので予約なしでも入れるかな、と思っていたのですが、土曜日ということもあり、1時間だけなら、と。
かなりの人気店のよう。
ちょっとおめかしした家族の集まり、という雰囲気のお客さんが多かったように思います。
腹ぺこではなかったので、軽く食べることにしましょう。

アルメニアのクッベ「イシリ・キュフタ」。ゼイトゥーニー・コロラクとも呼ばれるようですが、アラブのクッベは基本的には揚げるのに対して、アルメニアは茹でるのです。
材料や作り方はほぼ同じ。
そう言えば、エレバンの「西アルメニアレストラン」でのクッベはアラブと同じように揚げてありました。

皮は薄めだけど、モチッとして、これもなかなかおいしい。

麦とチキンのおかゆ「ハリッサ」。麦がプチプチで優しい。

ハーブがどっさりの「ジェンガロブ・ハツ」は、専門店よりもクセは感じませんでしたが、あくまでも“専門店よりは”です。他の料理では到底味わうことのできない複雑な青味は健在です。他の料理も一緒に食べることを考えると、これくらいがちょうどよい。
1時間、と言われて、急ぎ気味に食べてしまいましたが、味も雰囲気もなかなかのもの。また行きたいなぁ。
そう言えば、デザートの欄にミルフィーユがあったのですが、アルメニア語でもナポレオンではなく、「ミルフィー」と書いてありました。
帰り際、入り口近くのショーケースに「ナポレオン」らしき物があったので、「これ、ナポレオンですか?」と聞くと、「いえ、ミルフィーユです」とのこと。
何か違いがあるのかな。それともミルフィーユと言う方がおしゃれなのかな。
ロシアには行ったことがないのだけれど、旧ソ連の国でよく見かけるチョコレート。なんかかわいいので、ついつい買ってしまう。ロシアのデザインって、独特で惹かれる。