ケバーブやマハシーのようなメジャー級のアラブ料理とは違い、地味に、しかし確かに毎日のアラブ料理として存在感を放つのが「ファッタ」。
ファッタとは薄焼きパンをちぎって使う料理の総称で、国や地域によって様々な種類があります。
今回の「ファッタ・マクドゥース」は、ファッタ初心者でも食べやすいナスとひき肉を使ったもの。主にシリアなどで食べられています。
ちなみにマクドゥースとは、茹でたナスにクルミや唐辛子などのペーストを挟みオイルに漬けた保存食。
マクドゥースの作り方はこちら
ただし、ファッタ・マクドゥースはこのナスのオイル漬けを使ったファッタ、というわけではなく、ひき肉を挟んだナスのファッタです。
しかーし、お客さんが来たときならいざ知らず、いつもの食卓に毎回手をかけるわけにはいかないのはアラブ人女性も同じこと。
というわけで、この「ファッタ・マクドゥース」は挟まないバージョン。炒めたひき肉、素揚げのナスは冷凍庫に常備するべし!と言うシリア人の女性に教わりましたよ。確かにこれがあればすぐできますな。
材料 ひき肉…250g
玉ねぎ…半分(90g)
ミックススパイス…小さじ 0.5
塩…小さじ 0.5
油 ナス…400g
トマトペースト…大さじ 3
ニンニク…2 かけ
塩…小さじ 0.5
水…300cc
こしょう 油
ヨーグルト…300g
タヒーナ…60g
ニンニク…1~2 かけ
塩…小さじ 0.5
薄焼きパン(約 120g)
オリーブオイル…大さじ2
パセリ
パプリカパウダー
作り方 ① 玉ねぎはみじん切りにし、油を熱したフライパンで透き通るぐらいまで炒める。ひき肉を加え色が変わっ たら塩、スパイスで味を調える。
② ナスは一口大に切る。揚げ油を熱し、きつね色になるまで揚げる。ペーパーに上げ、油を切る。
③ 鍋に油とニンニクを入れ弱火にかける。いい香りがしてきたらトマトペーストを加え炒める。油となじんで きたら水と塩を加える。沸いたら揚げナスを加え、中火から弱火で 10 分ほど加熱する。
④ ヨーグルト、タヒーナ、塩と一緒にすりつぶしたニンニクをよく混ぜる。
⑤ 深めの皿にパンを一口大にちぎって敷き詰める。ナス入りトマトソースをまんべんなくかける。更にひき 肉をのせ、ヨーグルトソースをかける。
⑥ 小さいフライパンにオリーブオイルを入れ火にかける。煙が出るぐらいまで熱くしたら、ヨーグル トの表面にかける(ジュッと音がする)。好みでパセリ、パプリカパウダーをかける。
・そもそもファッタって?
冒頭で簡単に説明しましたが、ファッタ(ファッテ)はちぎった薄焼きパンを使った料理のこと。
似た料理に「サリード」や「タシュリーブ」などがあります。サリードはイスラム教が誕生する前から存在した料理で、預言者ムハンマドが好んで食べた料理とされます。現存するアラビア語で書かれた最古の料理書(10世紀)にも登場しますよ。
湾岸などではこれらの名前を使っているようですが、エジプトやシャーム地方などでは一般的には「ファッタ」という名前を使います。
シャームのファッタ
シリアやレバノンなどではちぎったパンに茹でたひよこ豆、ヨーグルトとタヒーナをかけた「ファッテ・ホンモス」をよく食べます。
作り方はこちら
お店では一人分をどんぶりによそってもらい、家庭では少し大きめのお皿で適当に取り分けて食べます。箸休めには生玉ねぎがよく合いますよ。
ヨルダンもほぼ同じ手順で作られますが、コッペパンのようなパン「ホブズ・ハマーム」を使うこともあるみたい。確かに、ちょっと食感が独特だった記憶があります。
エジプトのファッタ
作り方はこちら
羊などを屠る犠牲祭のときの料理として知られています。
スーダンのファッタ
カイロにあるスーダン料理店で食べたファッタもエジプト同様ご飯が使われていました。
ファッタに使うパンは、そのまま使ったり、揚げたり、乾燥させたりしますが、これは好みによるようで、料理によって使い分けたり、地域差はないようです。
追記:ファッタに使うパンについて、今回レシピを紹介したファッテ・マクドゥースは、揚げて用いる場合が多いです。