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【カイロ】イラク料理食堂で朝食を


カイロでは、近年様々なタイプのレストランがオープンしていますが、エジプト料理以外のアラブ料理を食べるとなると、マンディーで有名なイエメン料理や、ここ10年ぐらいですっかりお馴染みになったシリア料理を除けばそれほど見つかりません。

しかし、大都会のカイロ。探せば、え!こんなところに!という場所に意外なお店があるものです。

今回のイラク料理店も、思わぬ場所にありました。


お店があるのはナイル川に浮かぶローダ島のマニアルという地域。オシャレカフェなどが多いザマーレクの南側の島です。

お店の名前は「ハダーラ・バグダード」、日本語にすると「バグダード文明」。

扉はバビロンのイシュタル門。どこから見てもイラク料理店だなとわかります。

食堂と呼ぶのにふさわしい、こぢんまりしたお店。しかし、店内は外から見えず、なかなか入りづらい…。夜は外が暗くなるので、お店の中が見えたりするのかな。


こざっぱりとした客席に、イラクの観光名所などの絵がいくつか。

メニューはお肉のグリルや、ウージーやビリヤニなどのご飯もの、野菜に米を詰めたドルマ他、基本的なイラク料理らしきメニューが。マスグーフという、イラクと言えばの鯉のグリルもありました。


しかし、この日のお目当ては朝食。このお店は朝9時ぐらいから開いているそうで、この日もそれを目当てにオープン直後にやってきました。

朝食メニューは、そら豆と卵の「バークラー・ビ・ドホン・ホッル」、じゃがいもとひき肉の卵炒め「マハラメ」、デニッシュのようなパンとクロテッドクリームの「ゲイメル・ワ・カーヒー」の3種類。

余談ですが、同じアラビア語でも、イラクとエジプトでは使う単語が全く違うので、ドキドキします。


そんな中から、じゃがいもとひき肉の卵炒め「マハラメ」を。

サラダ類とパンは朝食メニューにはセットになっているようです。

ナスとタヒーナのペースト、野菜サラダ、赤キャベツのピクルス、きゅうりのピクルスと、サラダだけでもボリューム満点です。ピクルスは程よい酸味が心地よい。


メインのマハラメは、さいの目切りのじゃがいも、トマト、玉ねぎと羊のひき肉を卵で炒めてあります。

なんだか、知っている味。あ、家で作る焼き飯だ。チャーハンではない、焼き飯。と思ったら、濃い羊の味がぶわっと襲ってくる。土曜の昼ご飯の焼き飯の味なのだけど、そこに羊はいなかったな。懐かしいけど紛れもなく外国の料理なのです。

このお店はじゃがいもやひき肉が入っているのだけど、どうやらマハラメはとっても自由な料理のようで、トマトと卵だけだったり、いろいろあるみたい。


お茶はくびれグラスで。エジプトのみならず、アラブ・中東地域ではお茶はガラスのコップで飲むのが一般的ですが、トルコでよく見かける、このくびれたタイプの小さめのグラスは、エジプトでは普通は使いません。

濃い目のお茶が食後にすっきり合います。


テーブルの上には、調味料が。スンマーク(スマック)に、ザクロシロップ、そしてオリーブオイルと塩。これもエジプトでは見かけないものです。

塩はともかく、エジプトではスンマークやザクロシロップは普通は使わないし、実はオリーブオイルの使用頻度は高くはありません。オリーブオイルはどこでも売っているし、家に1本ぐらいはあるのでしょうけど、例えば、シリアやレバノンのように気軽にサラダや前菜に回しかけたり、とかは普通はしません。

スンマークやザクロシロップに関しては、シリア人が急増したことや、SNSなどで様々な料理に触れられるようになった影響もあってか、カイロの一般的なスーパーで見かけるようになりましたが、それでも普通のエジプト料理には使われていません。

似て非なる、アラブ各国の料理なのです。

(エジプト人が“誰一人も”これらを使っていないとは言っていませんので、“私の知っているエジプト人は使っている”というご報告は今のところ大丈夫です)


実は、最初は、「ゲイメル・ワ・カーヒー」というデニッシュのようなパンとクロテッドクリームのセットを注文したのですが、パン(カーヒー)がまだ到着していないようで断念。

注文係の女性曰く、フティール(カーヒー、エジプトではフティールと呼ぶ)は、オクトーバルからいつも配達してもらっているのだけど、今日はまだ届いていないので…、とのこと。

オクトーバルとは、カイロ中心部から車で40分ぐらいの場所にある、カイロ西部の郊外都市、10月6日市のことで、シリア人が多いことで有名なエリアです。そこに、いくつかのイラク料理レストランや食材店もあります。もしかしたら、そのあたりから「カーヒー」はやってくるのでしょうか。だとすれば、これも本格的なイラクの味が楽しめそう。

食事の途中にも、調理場の男性がやってきて、「お味はどうですか?今日はフティールがオクトーバルからまだ届いていなくて、申し訳なかったです」と、若干オクトーバルからやってくることを強調している気がしないでも。でも、確かに、オクトーバルからじゃ、(遠すぎて)今日は諦めよう、という気分になったし、あのへんからわざわざ来るということは、なんだかよさそうだな、とも思ったし。


お店のあるローダ島は、普通の住宅地という雰囲気ですが、観光名所としてはマニアル宮殿があります。

歩いてすぐなので、マニアル宮殿の見学の前後に立ち寄ってもいいかもしれません。


サイイダ・ザイナブとギザを結ぶ道路が走っているので、交通量は多めです。


お店の住所:103 Al Manyal Muzeum, Al Manyal Ash Sharqi, Old Cairo, Cairo


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