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【ウズベキスタン】真っ黒な亜麻仁油のプロフと食堂巡り

更新日:1月19日


ウズベキスタンの名物料理プロフ(オシュ)は、地域などによって多くの種類があるのですが、タシケントのお店などで比較的よく目にするのが、基本的なプロフと言ってもよさそうな「トイオシュ」や羊の脂をたっぷり使う「チャイハナオシュ」などではないでしょうか。


大都会にはこれらとは違ったプロフを出す店があるはず!と、その他のプロフを色々調べていると、どうやらサマルカンドのプロフはこれらトイオシュやチャイハナオシュとはまた少し違うよう。日本語で検索すると、具材を混ぜずに仕上げるのがサマルカンドのプロフの特徴とあります。そして、ウズベク語で「サマルカンド・オシュ」と画像やYouTubeなどで調べると、なんか黒い。なんと、この黒さの正体は亜麻仁油。しかもなぜか重油のように黒い亜麻仁油なのだとか。

そんな真っ黒な亜麻仁油を使ったプロフが食べられるお店がタシケントにありました。さすが都会。


タシケント南部にある「Ishtixon Zig'ir osh」というお店にやってきました。イシュティハンはサマルカンド州にある都市名で、ジギルはウズベク語で亜麻仁(油)という意味。同じ通りには同じく亜麻仁油のプロフを出す店「Zig'ir Osh Payshanba」があります。ちなみにパイシャンバもサマルカンド州にある地名みたい。

なぜか看板は店名やプロフよりも魚の方が目立ちます。「ホラズムの魚」とありますが…。


店内はビニールシートで覆われたテラスのよう。さらに奥に入ると建物内のがっしりした部屋になります。寒い時期は室内の方がよさそう。

メニューは亜麻仁油のプロフ「ジギルオシュ」のほか、「トイオシュ」や一般的なウズベキスタンの料理など割と多め。売りはジギルオシュのようですが、普通の食堂のような雰囲気です。魚もあるのかな。


ジギルオシュを食べに来たものの、ちょっと他のメニューも頼んでみました。

小さな餃子の「チュチュバラ」。茹でたてをヨーグルトに絡めて食べることもあるのだけど、今回はスープタイプ。

スープがクリアで、皮はつるんと。食べ慣れたような、どこか懐かしさすらあるのだけど、ディルが日本にはない香りを運んでくる。すごい優しい。


お待ちかねのジギルオシュ。確かに黒い。

ごはんに醤油をかけたような色です。

肉は牛肉で、人参は黄色い方のみ。ひよこ豆やレーズン、バーベリー類はなしです。そして、サマルカンドのプロフの特徴としてよく言われるように、人参などの具材は米に混ざっておらず、上にのせてありました。


油の量は他のプロフと同じぐらいですが、色が付いて可視化されるだけあって、おおっとおののいてしまう。もっとも、米にまとわりついている油の量は、作ってからどの段階のプロフを食べるかによって違いそうですが。

インパクトあるビジュアルに反して、これは油なのか?というぐらい、さらっとしています。

どことなくゴマ油のような風味がある気もしますが、それほど強いわけではなく。

他のプロフ(あくまで旅行中に食べたいくつかのプロフですが)よりもあっさりしているのではなかろうか。

牛肉を使っているというのも他のプロフとの違いで、羊の匂いがないぶんあっさりと感じるのかもしれません。

見た目は何となくからそう(醤油っぽいから?)と思うのですが、全くそんなことはありません。

なんだろう、伊勢うどんのたれが意外とからくない、みたいな。どこまでも醤油から離れられません。


ジギルオシュのおいしさと意外性に満足しつつ、タシケントの食堂って結構面白いな、と再認識。

ということで、いくつか食堂を巡ってみました。


プロフに次ぐウズベキスタンの名物料理と言えばラグマンが挙げられるかもしれません。ラグマンが食べられるお店はタシケントにはたくさんあるのですが、「Anor」というお店は特に有名みたい。

ここも、プロフなどウズベキスタン料理は一通りあるのですが、ラフマジュンとか、ピデのような、ちょっとトルコ風のメニューもありました。


で、ラグマンです。オーソドックスな汁タイプです。

ががっと強火で野菜を炒めた、ちょっと油の焦げた匂いがたまりません。

具材一つ一つが油でコーティングされて、あつあつ!セロリがたっぷりで味に深みがあります。


麺は細めでつるつる。脂が溶け出したような、とろみのある汁がいい具合に麺に絡まります。


続いてはノリン。ラザニアのような幅の広い小麦粉の生地を茹で、細く切ったものと、塩漬け馬肉(羊や牛のこともあるみたい)を茹でたものを、これまた細く切ったものを和えた料理です。

麺は常温で、馬肉はかなり細かく刻んでありますが、結構塩辛い。正確に言うと、肉が塩辛い。

そして、スープは温かく、おそらく馬肉のゆで汁なのですが、これも塩辛い。つけ麺風に汁につけながら食べます。

これは、ちょっと楽しみ方がわからなかったです。

なんか、飽きる…。上にのっている生玉ねぎに救いを求めてしまいます。


サラダはいつもはトマトのアチック・チュチュク」を頼むところだけど、この日は「オリビエサラダ」というポテトサラダにしてみました。

日本のポテトサラダよりも具材一つ一つがしっかりしていて、じゃがいもまでもしっかり角切りが保たれていました。あとは茹で肉が入っているのも日本との違いかもしれません。

このサラダはロシア発祥と言われ、この辺りの国ではよく見かけます。定番すぎるので、あまり気にも留めていませんでしたが、国ごとに微妙に違いがあるんだろうな。


次にやってきたのはタシケント東部にある「Sardoba」。

こざっぱりとした清潔なお店です。


このお店もプロフやシャシュリクなど、ご多分に漏れずウズベキスタンの料理が一通りあります。

そして、ノリンを刻んでいるところが見られるのもなんだか楽しい。


ノリンの山。


ここはノリンを試して魅力を発掘しなければ、とも思うのですが、結局頼んだのはラグマン。

他の料理も試さなければ、でも、同じ料理を別の店で食べ比べてもみたい。

短い旅行だとこんな葛藤があるのですが、他の人はどうしているんだろう。

ここのラグマンも、高温の油でカンカンと野菜を炒めたあの匂い。

先ほどの「Anor」よりはあっさり目ですが、お肉は噛みしめるほど旨味が出ます。


カウンターに並んでいたサムサも頼みました。


ザクっ!ばりっ!の皮の中は大き目にカットされた羊肉。

玉ねぎとなじんだひき肉もおいしいのだけど、ゴロゴロお肉って最高だな。


シャシュリクはシンプルな羊。柔らかいけど、ぎゅっと味と噛み応えのあるお肉。

ビールがあれば最高、なのですが、ね。


その代り、というわけではないですが、野菜盛りがあるのはありがたい。

イタリアンパセリやディル、ネギにラディッシュ、そして生にんにく。

これをかじりながらお肉を食べるのは至福の時。

シリアやエジプトなどでもこのスタイルは定番なので、今や我が家でも野菜は適当に切って皿に盛って食べていますが、これを日本でやると、え、切らないの?とか、ドレッシングは?とかになるので、人に出すときは注意しています。人を選ぶ盛り合わせ。


ノンは「ロチラ」というタイプにしてみました。

一般的なノンよりも薄く、パンというよりはクラッカーや素焼きのパイのよう。

ラグマンの汁に浸すと美味しい。


テーブルの上にはコカ・コーラのナプキンケースがありました。

サムサバージョン。


裏面はショルバです。

なにこれ、欲しい。


プロフバージョンは街中の広告でよく見かけました。


そうそう、ノリンですが、日本語でネットで検索すると、タシケントの名物料理とか、タシケントでしか見られないとか出てきますが、マルギランでは何度か見かけた記憶があります。

そこそこ大きな都市だと、地元の料理以外を出すお店もあるわけで。マルギランで見かけたノリンはその類だったのかどうかはわかりませんが、マルギランでもそこそこ食べられているような気がします。


しかしながら、確かにタシケントでは確かに「ノリン」と看板を出しているお店がやたら目につきました。

個人的にノリンのインパクトに感化されていて、目に入りやすいというのもあると思いますが。


タシケントのスーパーでは、サラダの量り売りコーナーにノリンがありました。

値札が99,990スムのやつです。

他のサラダと一桁違う…。結構高いな。

タシケントに住んだら、サラダを買うついでに、「お!ノリンか。最近食べていないな、100gぐらい買っとくか」と、ノリンが身近になるのでしょうか。


お安めの馬肉で作ってみるのもいいかも。

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