サマルカンドに到着して街を歩き始めたとき、ふっとダマスカスの風景が蘇りました。カラッと乾燥した空気、気温に見合わない強い日差し、それに加え、パンのトッピングなのかニゲラの香ばしい匂い。舗装されていない道は砂ぼこりが舞い、突然の段差やら溝やらでまっすぐ歩くことができない歩道。慣れ親しんだカイロでもベイルートでもなく、ましては東京でもない。ウズベキスタンという、全く違う国に来て、その第一印象がシリアみたい、とはなんだか嬉しくなったのです。
サマルカンドと言えば、「青の都」とも呼ばれ、美しいブルーのタイルの建築物が印象的です。ウズベキスタン随一の観光地のでもあるサマルカンドから今回の旅は始まりました。
日本からソウルで乗り継いで、深夜に首都タシケントに到着し、翌朝列車でサマルカンドへ。
ウズベキスタンの新幹線ともいえる「アフラシャブ号」。タシケントーサマルカンド間を約2時間で移動できます。車内は広々快適で、広めのテーブルや電源もあります。
かわいい袋に入った軽食とお茶は無料サービス。
袋の中はクロワッサンでした。
駅のホームには「ノン」の売店も。ウズベキスタンの主食は「ノン」と呼ばれる丸型のパン。地域によってバリエーションが様々なようですが、サマルカンドのノンは特に有名なんだとか。
うわー、テンション上がる!
ホテルにチャックインし、身軽になったら早速お昼ご飯です。ウズベキスタンの名物料理のプロフやラグマン、シャシュリクなど、そのあたりの物を食べたいなぁ、なんて思っていたのですが…。
よさそうなお店を探していると、No'xat、ノハト?確かトルコ語でノフットはひよこ豆のことだったはず。もしかしたら、ウズベク語でも、なんて思っていると、まさしくひよこ豆の料理を出すお店でした。
ひよこ豆と羊肉を一緒に茹でた料理「ノホト・シュラク」の専門店。
メニューは特になく、メインのノホト・シュラクの他は、サラダ類、ノン、飲み物を頼めます。
そう、こういうサラダが食べたかったのです。濃い味わいのトマト、フレッシュなイタリアンパセリ。余計な味付けはなく、好みで塩を振って。日本ではこういうサラダは意外とお目にかかれない。
ノンはライ麦のノンと、油分多めのパイのようなノン。ぎっしり食べごたえのあるパンは、こちらも日本ではなかなか見つからない。
メインのノホト・シュラクが来ました!
実にシンプルな料理ではないですか!生玉ねぎのスライスやイタリアンパセリを軽く混ぜ合わせながらいただきます。ほろっとした羊肉は特有の風味はしっかり健在。ひよこ豆は柔らかいものの、しっかり食べごたえのあるほど良い固さです。そしてスープが何とも美味。羊のゆで汁だけでは出せないまろやかさは、ひよこ豆のおかげでしょうか。別々に茹でずに一緒に茹でることで、二つの旨味がしっかり合わさる。これはマネしたい。
クルトンのような、ノンの角切りも入っていました。
おいしいスープが染み浸みのノンも格別。
シャキッとした玉ねぎのおかげか、シンプルな料理だからなのか、全然飽きない。そして、トマトサラダに丸ごとのニンニクがいくつか入ってるので、これをかじりながら食べるのも最高です。
ウズベキスタン最初の食事はプロフでもラグマンでもなかったですが、これは大正解。これからの旅に胸が高鳴ります。
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