ウラジオストクの町を歩いていると、ロシア、というよりも中央アジアやコーカサスの食堂をよく見かけます。
ダントツで多いのはウズベキスタン人のお店なのですが、その周辺の国の料理も楽しめるのが国際都市ウラジオストクの魅力ではないでしょうか。
そんなウラジオストク、中心部から10キロほどの郊外に、すこぶる評判の良いアゼルバイジャン料理のお店があります。
え、なんでこんなところ、と思ってしまうような場所。
たかが数日のウラジオストク滞在。地理や町の構成がつかめていない旅行者には思いもよらない理由があるのかもしれませんが、とにかく周りには何もない幹線道路沿いにお店はあります。
知らなければびゅーっと通り過ぎてしまうような建物。ここが評判のよいアゼルバイジャン料理店「Zafferano」です。
外観からは想像がつかないシックなインテリア。
ガラス張りの店内は明るく、お客さんや店員の声の響きが心地よい。
まずは生ビール。注ぎが丁寧で温度もちょうどよい。
これは期待できそう。
シンプルな野菜サラダ。
トマトときゅうり、玉ねぎの定番野菜にディルやパセリが絡むとあっという間に外国のサラダになってしまうのです。
なんでもこのお店はバクーから材料の多くを運んできているのだとか。
アゼルバイジャンの、薄く、むっちりしたパン。
表面にはポピーシード。
サブジー・ガブルマは、ラムとハーブをくたくたに煮込んだ料理。ぱらっとしたご飯を添えてあります。
ラムは柔らかく、でもその独特の味はぎゅっと濃く、軽い食感のごはんに混ぜながら食べるとするするとのどを通っていきます。
そして、もう一つの味、それは滴るほどのバター。食べ進めていくほどバターがごはんの方からしみだして、皿の余白にたまっていくのです。
重くなるはずのバターの量にも関わらず、全体的に軽いのはなぜなんだ。
お待ちかねのラムのケバブ。
実は私、色々な国でラムを食べたけど、世界でラムが一番おいしいのはアゼルバイジャンではないかと思っているのです。
そんなアゼルバイジャンのケバブ。
ブリっと噛み応えのある、そしてラムの香り。そうそう、これこれ。
エジプトでもレバノンでもシリアでもアルメニアでも、どこでも美味しいとは思うのだけど、アゼルバイジャンのラムは、しっかり味がある、噛むごとにぎゅっと染み出してくるうまみ、そして絶妙な食べ応え。
酸味のあるスンマークをぱらりとかけ、箸休めは生玉ねぎ。やはりこれでないと。
食後のお菓子はシャケルブラ。
ほろっとした生地でアーモンドをたっぷり包んであります。
バクラワは当然生地が厚めのアゼルバイジャンタイプ。
トルコやアラブ地域の極薄生地のバクラワもおいしいけど、これもよい。
リッチなクッキーのような生地にスパイスを効かせたナッツがぎゅっと。
甘いけど、心なしかスッとする口当たりがよいではないか。
お茶と一緒に小さなお菓子が出てくるのも、そうそう、アゼルバイジャンであったな。
担当してくれたアゼルバイジャン人の若い店員さんは、少し英語が話せました。
中心地の外国人観光客が多いところは別として、ウラジオストクで英語ができる人はそんなに多くない印象です。
この辺りの国(旧ロシア圏辺り)に来ると、いつも感じるのは、我々日本人の考える「インターナショナル」とは全く別の「インターナショナル」があるな、ということ。
最近は色々な人がいるものの、(このブログだって中東がどうのこうの言っていますからね…)大部分のところで日本人は、インターナショナル=欧米、外国語=英語、という方向ではないでしょうか。一方、彼らは、外国語=ロシア語、というわけで。(最近はロシア語よりも英語を重視する人が増えているようですが)
商売の方向や、生活の概念のようなものが、まったく違う方を向いているなあ、と感じるのです。
さて、お店を出て、幹線道路沿いの茂みを通り抜けていくと、だんだん民家が増えていきます。
道なりに下っていくと、
路面電車の終点駅「サハリンスカヤ」駅が見えてきます。
ここで電車は折り返します。
ぐるっとターンするのがかわいらしい。
レトロな車内。現在路面電車はこの1路線のみとなったようです。
郊外の停留所はこぢんまりしていますが、乗客はそこそこ多い模様。
やっぱり郊外が楽しいな。
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