top of page

【カイロ】イエメン料理店でしっとりマンディー

更新日:2022年3月7日


世界各国の料理が食べられるようになった日本ですが、まだまだ日本人には知られていない、でも、現地に住む日本人なら誰でも知っているような料理がどの国にあると思います。アラブ料理で考えると、その一つが「マンディー」なのではないでしょうか。

「マンディー」とは、イエメンの東部のハドラマウト発祥の料理で、羊やヤギ、鶏などをオーブンで蒸し焼きにした料理。普通は米と一緒に食べます。

グリルとも、茹でたのとも違う。しっとりだけど、ほんのり炭の香りがついて、一度食べると虜になってしまう、そんな魅惑の料理。

そもそもマンディーという語源が「湿っている」というような意味。

一方ご飯はパラッと軽くあっさり目。

これにソハーウィクという、トマトと唐辛子のジューシーなソースを好みでかけながらいただきます。

私が初めてマンディーに出合ったのは、もう10年も前。ダマスカスには多くのマンディー屋さんがあり、多いときには週一回は食べていました。

カイロにも、マンディーを出すお店、そしてイエメン料理店は多く、特にナイル川西岸のドッキは密集地帯。

有名なのは「マトアム・ヤマニー」。イエメンレストランという直球すぎる名前のお店。メニューは少ないですが、それが故イエメンの味を楽しめるのです。

何軒か行った中で、私が一番好きなのは「El Shebani」。

お店は大きくはありませんが、手頃で入りやすいお店です。

テーブル席の他、左側には座敷もありますよ。

余談ですが、エジプトのレストランで、男女(家族)別の席があるということはないのですが、イエメンレストランは大抵仕切りがあります。イエメン人のお客を意識した作りなのでしょう。もちろん女性のが普通の席に座ることは何ら問題ありませんが。

小さめのお椀に入った「マラク」。羊のゆで汁のスープで、これがまた美味しいのです。具は殆どなく、シンプルでなぜかほっとする味。レモンを搾っても。

ソハーウィクは、フレッシュトマトとパクチー、唐辛子などをすりつぶしたもの。これをパラッとしたご飯にかけると、スイスイ食べられるのです。見た目以上に辛いですよ。

あとは、野菜サラダが来ます。

この3つは、どこのお店でも最初に登場します。

イエメン料理の定番「サルタ」。

肉やジャガイモの煮込みで、「マドラ」と呼ばれる石鍋でグツグツの状態で出てきます。

上にかかった緑のソースは「ヘルバ」。ヘルバとは、アラビア語でフェヌグリークのことで、これにパクチーやニラのような野菜、唐辛子などを加えて作ります。空気を含んだようなふわっとした食感ととろみ、そして苦み。初心者だと苦手な人が多いと思いますが、慣れるとやみつきになりますよ。もちろんこのソースを抜いてもらうこともできます。

サルタはイエメンの中でも、 首都サナアを含めた北イエメンでよく食べられいるそうで、ツナ、挽肉、 米、卵などもよく使われるようです。特に肉が多いサルタは「ファハサ」と呼ばれます。

この日はマンディーとは別のごはん物。

「ズルビヤーン」です。これは、ビリヤニのように、半分ぐらい茹でた米と、肉や鶏の煮込みを重ねて仕上げた料理なのですが、特徴はジャガイモ。

ゴロンと大きくてほくほくのジャガイモが入っていて、ボリューム満点。マンディーはあっさり目ですが、こちらはお米自体にしっかり味がしみていて、どちらも捨てがたい。

そうそう、イエメン料理店は、パンがめちゃくちゃおいしいのです。

ごはん物を頼んでも、絶対に頼むべき。

大きいので、余ったら持ち帰りもできます。

注文ごとに焼くので、出来たて熱々。表面はパリッと、中は層になっていてしっとりもっちり。

別のお店ですが、パンを焼くところを見せてもらいました。

生地の表面に油を付けながらのばして、

更にのばして、

薄ーくなったら、折りたたんで窯に入れます。

タンヌーラと呼ばれる窯。筒状になっていて、内側の側面に生地を貼り付けて焼き上げます。

しっとりぱりぱり。小麦のいい香り。

ついでにマンディーの窯も見せてもらいました。

ちょうど調理中だったのですが、オーブン下部に米と水の入った鍋、上半分に網をのせ、肉を置きます。

伝統的にはマンディーは、地面にドラム缶が入るぐらいの穴を掘って、底に熱した炭、米の入った鍋を置き、肉を吊るして穴全体に蓋をして蒸し焼きのような状態にして仕上げます。肉汁が米に落ちながら、そして米の蒸気が肉を蒸して、あの独特の食感になるのですね。

現在はオーブンで仕上げる事が多いようです。写真はこちら

このお店もドッキにあります。「ベイト・ヤマニー」、イエメンの家。わかりやすい。

食堂風のお店が多いイエメン料理店ですが、確か2年ぐらい前にオープンした「バーブ・ヤマン」は、明るくて人を連れて行くのにもオススメ。

バーブ・ヤマン、アラビア語で「イエメンの扉」。こちらも直球的店名。

この他にも、ドッキには多くのイエメン料理店がありますが、ドッキ以外にも、もちろんあります。発祥地の「ハドラマウト」とお店に書かれている事も多いので、これを頼りに探してみてはどうでしょう(アラビア語のみのことが多いですが…)。

そうそう、イエメン料理店では、デザートは、バナナのファッタ(マアスーブ)がおいしいです。

数多くイエメン料理店、そしてマンディーが食べられるお店があるカイロですが、エジプト人はマンディーを知らない人の方が多いような気がします。もちろん、家でマンディーを当たり前のように作る人もかなり少数な気がします。

多くのイエメン料理店の店員はイエメン人、お客もイエメン人が多く、そこら中に存在しているけど、その存在を知らない人が多い、何ともエジプトらしいなぁ、と思います。

が、何と、エジプト人によるエジプト人のため?のマンディー店が誕生したのです。

チェーン店の「カスル・マンディー」。マンディー城という、これまた、という名前。

キャッチフレーズは「エジプトの味」。まぁ!何と言うこと!

設立は2004年らしいのですが、ここ2~3年でよく見かけるようになった気がします。

エジプト人もマンディーの美味しさに気づき始めたか。

メニューはマンディーの他は、一般的なエジプト料理、ケバーブや、モロヘイヤ、ハトなどで、イエメン押しではない。

最初は少々疑っていたのですが、ここ、おいしいです。いや、絶品ということではないのですが、ブレがないのです。

エジプトって、おいしいお店でも、たまにあれ?っていうことがあったり、それがなぜか人を連れて行った時に起りがちなのですよ。

このお店はそれがない。私はデリバリーをしていますが。いつも安定しています。

一度お店にも食べに行ったのですが、デリバリーの時と変わりなく。

マンディーも、ケバーブも、チキングリルも。とにかく安定しているのです。

これって、すごいことなんですよ。エジプトでは。

ヤギ半匹のマンディー。こんな大物も、何十回と利用して信頼しているからこそ注文できるのです。

しっとりお肉。

エジプトでマンディー、これハズせません。


最新記事

すべて表示

​おすすめ記事

bottom of page