
約1カ月続いたラマダーンが終わると、連休「イードルフトゥル」に入ります。
この連休は子供にお年玉のようなお小遣いをあげたり、新しい洋服を着せて親戚を訪ねたり、さながら日本のお正月の様な雰囲気です。
イード中、家族や親戚などの集まりに欠かせないのがビスケット類。
エジプトではカハク、シリアなどシャームではマアムールが定番ですが、その他「プティフール」と呼ばれるクッキーや、アンモニアを膨張剤に使った「ナシャーディル」などなど、ラマダーン後半ともなると、これらのビスケット類がお菓子売り場を占領します。
家庭でもイードに備えて、ラマダンも後半になるとイフタール(断食明けの食事)を終え一息ついた頃、家族の女性が集まってビスケット作りに精を出します。
作る量が尋常ではない事が多く、小麦粉1キロ、2キロは当たり前。どこからか巨大なタライやトレイを出してきて、女性達がおしゃべりしながら一晩中かかって仕上げる事も珍しくありません。
エジプトでは先述の通り「カハク(カアクとも)」を作ります。
シリアなどののマアムールがセモリナ粉を使うのに対し、カハクは小麦粉で作ります。
一般的なクッキーとは違い、イーストが入っているので、さっくりホロホロ。
熱した油を使用するのも大きな特徴と言えるでしょう。
プレーンカハクから、ナッツやデーツの餡「アグワ」、ハチミツを煮詰めた「アガミーヤ」などを包んだものなど、種類は豊富。
生地には甘みが付いていないので、たっぷりの粉糖を振りましょう。
材料 約20個分
~生地~
小麦粉…200g
バター…100g
白ごま…小さじ2
塩…少々
シナモン、カルダモンなど
イースト…小さじ3分の1
砂糖…小さじ1
ぬるま湯…40cc
~アガミーヤ~
小麦粉…15g
バター…20g
クルミ…20g
白ごま…大さじ1
ハチミツ…90cc
粉糖
作り方
①イースト、砂糖、ぬるま湯を混ぜる。
②別のボールに小麦粉、塩を入れ、表面にスパイスと白ごまをのせる。バターをフライパンで熱し、ごまの上にかける。

③スプーンで混ぜ、触れる温度になったら全体が滑らかになるまでよくこねる。
④イースト水を加え全体をまとめる。ふたをして2時間ほど休ませる。
⑤ハチミツ餡を作る。鍋にバターを溶かし、小麦を加え、絶えずかき混ぜながら弱火で加熱する。

⑥うっすら色づきはじめたら刻んだクルミ、白ごまを加える。


⑦ごまのいい香りがしたらハチミツを加える。時々かき混ぜながら5分~10分程煮詰める。

⑧バットなどに出し、冷めたら適当な大きさに丸める。


⑨生地を適当な大きさに取り、ハチミツ餡を包む。手のひらで軽く押して平たくする。好みで表面に模様を付ける。
⑩180度に予熱したオーブンで20分焼く。生地に砂糖が入っていないので、焼き色が付きづらいので、焼きすぎに注意する。
冷めたら粉糖を振る。

カハクの飾りにはギザギザのピンセットのような「マナーイーシュ・カハク」を使います。

道具屋さんには素朴な型などもありました。
フォークやざる、すりおろし器など、身近にあるもので模様を付ける人もいますよ。
もちろん模様なしでもよいです。
カハクには(と言うよりは殆どのアラブのお菓子)バターではなく澄ましバター(サムナ)を使いますが、バターでも代用可能です。
生地に加えるスパイスは、エジプトでは「リーハ・カハク」というミックススパイスが市場のアッタール(スパイス屋さん)などで売っています。
日本語にすると「カハクの香り」という、直球すぎるネーミングのスパイス。
シナモン、カルダモン、クローブ、マハラブ(マハレブ、マーレブ、マーラブ、Mahleb、mahlab、Mahalepi、とも)、ナツメグなどが入っています。
ただし、他のミックススパイスにも言えますが、絶対という配合はありません。人によって使うスパイスは違います。
これらのスパイスから好みに応じて使用するとよいと思います。
また、カハクはいわゆるスパイス臭いお菓子ではありません。この辺も好みですが全部で小さじ3分の1杯を目安に入れるとよいでしょう。
スパイスはなしでも構いません。

たっぷりの粉糖を振って。