「私、ポーランドでは普通だけど、ここ(ロンドン)では美人な方ね」
19歳の時に住んでいたロンドンで、通っていた英語学校のクラスメートのポーランド人女性がこう言い放ったのです。
世の中には自分でこういうことを言う人がいるのか!とかなりの衝撃。あの頃は何も知らない19歳。私の中でカルチャーショックといえば、真っ先にこの光景が浮かんでくるのです。
ドイツ、チェコ、スロバキア、ルーマニア、ハンガリー、ウクライナ…、十分見たとは言えないですが、これらの国々には幸運なことに訪れる機会があり、残るはポーランド。この辺りの国の中では大きく、存在感もあるのに何となく取り残していたのは、あのカルチャーショックがほんのちょっと関係しているのかもしれません。
ポーランド、約2週間、レンタカーの旅。
昨年のルーマニアに続き、レンタカーは2度目ですが、今回はどんな旅行になるのだろう。
ワルシャワ空港で車を借りて4時間弱、最初に訪れたのはポーランド中北部の町「トルン」。
天文学者コペルニクスが生まれた町として有名です。
そしてもう一つ、ジンジャーブレッド「ピエルニク」がこの町の名物なんだそう。
ソフトクッキーのような物から、オーナメントにも使える堅めのクッキーのような物など、種類はいろいろですが、スパイスと蜂蜜をたっぷり加えた味わい深いお菓子。ショパンも大好物だったとか。
町にはこのピエルニク作りを体験できる博物館があります。
いくつかあるみたいですが、私は「Muzeum Toruńskiego Piernika」に行ってみました。
生地は既に完成していて、インストラクターの指示に従って捏ねて、伸ばして、型に入れて周りを切り取るだけ。約10分ほどで終了です。
説明を聞きながら博物館を見学している間に焼き上がります。
正直なところ、物足りない…。さすがに最初から生地作りはしないだろうと思ってはいましたが、スパイスの配合とか、ちょっと見たかったな。
焼き上がりはこんな感じ。普通のクッキーは生地を捏ねるのは厳禁ですが、ピエルニクはよく捏ねるのがポイントなんだそう。そして、型に強く押しつけるように入れていくと模様がきれいに出ます。
ピエルニク作り体験はちょっと物足りませんでしたが、博物館は大満足。
昔から使われてきた、繊細で、そして力強い型がいっぱい。必見です。
あー、楽し-。
こうなると買っちゃいます。
ピエルニクの型。ちょっとお土産っぽいかな~、と思いつつ。
使うのが楽しみ。
ピエルニクはトルンの名物ですが(もちろん他の町でも買えます)、ポーランドのお菓子と言えば、やっぱりこれ。
ジャムドーナツ「ポンチキ」です。
いつものおやつであり、脂の木曜日(四旬節期間直前の木曜日)に食べる伝統的なお菓子なのだそう。
中にはジャムやクリームが入っていますが、どうやらバラジャムが基本みたい。
表面のオレンジピールが異常に合う。
ポーランドに行く前は、ジャムドーナツ、あー、はいはい、アレね、と思っていたのですが…
トルンの旧市街にある「Stara Pączkarnia」のポンチキ!これが!うまっ!
まわりはサクッ、中は軽い、じゅわっと溶けると言うか、すっと口から消えてなくなるような不思議な食感、そしてジャムが最初の一口目から出てくる、つまりどこから食べてもジャムが登場する…。何これ、毎日食べられる。
観光地ど真ん中にあるので警戒していたけど、ここ、おすすめですよ。
旅行中何度かポンチキを食べたけど、ここが一番おいしい。
ひとつ3ズロチ(90円)は高めだけど(だいたい1.5~2ズロチが多かった)、間違いない美味しさです。
トルンは世界遺産の町なだけあって、旧市街中心部にはレストランが多いです。その辺はあえて避けて…、旧市街でありながら観光客が少し減る新市街広場にある「Gospoda Pod Modrym Fartuchem & Krajina Piva」には2回も行ってしまいました。
生ビール、瓶ビールとも種類が多く、しかも注ぎが丁寧でおいしいのです。
そして料理も。
砂肝とマッシュルームとポテトニョッキのクリームソース。
砂肝は柔らか。そしてマッシュルームがゴロゴロジューシー。ポーランドって、この辺りの国の中ではかなりのキノコ食い?というのが今回の旅行の発見。とにかくキノコ料理がおいしい。料理で迷ったら、とりあえずキノコクリームにしておけば間違いないです。
骨付き豚バラもトロンととろける。角煮のよう。
あ~ビールにあうなぁ。
トルンでの宿は「Kopernik Hotel」。中心地から徒歩圏内だけど、観光客が少ないエリアで静か。
部屋のタイプはいろいろあるみたいですが、私が泊まったのはシャワーが共同の安い部屋。洗面台とトイレは部屋に付いていたので、何だか得した気分でした。