フェイスブックページ【アラブでお菓子のハナシ、ゴハンの時間 Yummy Araby】では、毎年ラマダーンに関する投稿をしてきました。
年ごとに微妙に雰囲気が変わり、そして、私個人的にもラマダーンに対して感じることが少しずつ変化しているように思います。
2017年はどんなラマダーンだったでしょうか。
少し振り返ってみることにします。
2017年5月26日
明日からラマダーンが始まりますよ!エジプトではラマダーンの1ヶ月ぐらい前から、スーパーなどで「ラマダーン袋(実際は箱のことが多いですが)」が売り出されます。米、油、マカロニ、砂糖、トマトペーストなどが基本のようで、スーパーによっては乾燥ソラマメや、お茶の葉、澄ましバターなどもセットになっています。エジプトの超基本食材ですね。 イスラーム教徒の義務の一つに「ザカート」と呼ばれるものがあります。これは義務としての喜捨で、貧しい人など恵まれない人々の救済のために使われます。財産や収入に応じて課せられますが、現在のエジプトで、例えば政府によって徴収されるということはありません。一方、自発的な喜捨は「サダカ」と呼ばれます。 これらは1年中いつ行ってもよいのですが、ラマダーンの時期に行うのを好む人が多いようで、数人の知人友人によると「直接お金を貧しい人に渡してもいいけど、こういう食べ物を渡す方がいいと思う」とのこと。個人で身近な困窮者へ施しを与えるほか、各種団体や企業などが大々的に行うことも盛んで、この時期には「○○組合が何千個のラマダーン袋をどこどこに配った」みたいなニュースがあちこちで見られます。 というわけで、この「ラマダーン袋」は、この時期によりいっそう活発になるチャリティー精神に基づいた商品で、ラマダーンお得セットみたいな雰囲気ではないようです。 ちなみに自分で使う為に買う人もいるのかとエジプト人の友人に聞いたところ、「自分で食べる?そりゃええけど最安ラインの商品が入ってて、あんまり美味しくないで」とのこと。こういうことはサクッと言いますよね、エジプト人って。でもそんなところ、嫌いじゃないです。。
2017年5月28日
ラマダーンに欠かせない食べ物の一つにデーツがあります。品種や乾燥具合など、そのバリエーションは無数にあるのですが、カチカチに乾燥したタイプはお手頃価格で、水やミルクなどに浸して柔らかくして食べます。 この時期はこのデーツを売る人をあちこちで見かけます。カチカチデーツが入ったずた袋を2,3個並べて道ばたに座っているおじいさんから、繁華街に大きなテントを建てて売っている一家など、数人に聞いてみるとこの時期にアスワンなどの上エジプトからカイロに出張?に来ているのだとか。 エジプトのラマダーンに欠かせない、もう一つのアイテム、ランタン。こちらもこの時期にはあちこちで見かけますが、カイロ南の「サイイダ・ゼイナブ」地域には、道沿いにずらっとランタンテントが並び、その間にデーツやらヤーミシュ(ナッツやドライフルーツ)のテントがぎっしり、ラマダーンならではの風景で、それはもう圧巻です!
2017年6月14日
先日知人のエジプト人女性と、この「マーイダ・ラフマーン」の話題になりました。何でも彼女は外国人が「はしゃいで」ここで食事を待つ風景を目撃して、非常に驚いたとのこと。
彼らは自分の食事の用意ができないほど困ってはないはず。彼らの周りに本当のことを言ってくれるエジプト人はいないのだろうか。そしてここで食事をする人々は皆「困惑した表情」、つまり、隣り合って座った人と言葉を交わしたり、食事ができるありがたさを前面に出したりはせず、黙々と食べ、すぐに立ち去る。はしゃいだりする場所ではないのでは、と、当惑した表情で話していました。
これは彼女個人の考えに過ぎませんが、確かに、例えば日本で何かの炊き出しに、全然対象ではない外国人(外国人以外でも)がはしゃいでいたら、うわっと思うかもしれません(ちょっと例が雑なのはご容赦ください)。
違う話ですが、別の知人とイフタール難民になった際も、この「マーイダ・ラフマーン」はそもそも彼女の選択肢になかった、ということもあります。
誰でも頂くことのできる「マーイダ・ラフマーン」。その正解はないですが、物事を知ることによって行動が制限される一例だなぁ、と思います。
2017年6月18日
いつものヨーグルトもラマダーン仕様。
2017年6月20日
断食の時間が終わる日没の直前には、道行く人々に飲み物を振る舞う人達が大勢います。長い一日はもうすぐ終わり。飲み物を受け取る人も、配る人も、笑みがこぼれます。