リビアにもいろいろなスープがありますが、基本となるのが「ハサー」。
保存食の干し肉「ギッディード(ガッディード、カッデキードetc…)」を使用した、濃厚で食べ応えのあるトマト風味のスープです。
ギッディードとは、辞書的には干し肉なのですが、主にモロッコやアルジェリア、リビアなどでよく使われているよう。
広い範囲で使われているので、作り方はいろいろなのですが、基本的には塩、ニンニク、スパイスなどを練り込んだ肉を数日間干して作ります。
ジャーキーのように乾燥したまま保存したり、脂に漬け込んで保存したりします。
知り合いのリビア人のお宅では、塩、ターメリック、唐辛子を練り込んだ肉を干し、その後一旦茹でて(湯通しぐらいかも?)羊の尾の部分の脂「レイヤ」と植物油と一緒に保存するそう。
こちらがそのギッディード。カレーじゃないですよ。
ジャガイモのようなのが脂です。
これを今回のようなスープに使ったり、炒めて食べたりするそうです。
早速このギッディードを使ったスープ「ハサー」を教えてもらいましょう!
まずは植物油を熱し、ギッディードを加え炒めます。
トマトペースト、唐辛子を加え更に炒めます。
ちなみにこちらのお宅では、ハサーには玉ねぎは使わないそうですが、他のレシピを確認すると、使っている場合もあるので、その辺は好みですね。
トマトペーストが全体になじんできたら、青唐辛子、水を加えます。
20分ぐらい弱火にかけましょう。
パクチー、ニンニクのみじん切り、バジルを加えます。
ミントがあればこれも加えましょう。
2~3分火を通します。
小麦粉(今回はテーブルスプーン山盛り3杯ぐらい)を水に溶き、少しずつ加えとろみを調整します。
コーンスターチや片栗粉は使いません。必ず小麦粉を使います。
最後にリビアのミックススパイス「ハラーラート」、塩で味を調整します。
普通の肉や鶏肉でも同じように作ることもあるそうなのですが、こんな短時間で深みのある味わいのスープが完成してしまうのは、やっぱり干し肉効果なのかしら。
うーん、まずはギッディードを作るべきか。
食後はリビア式グリーンティー。
ポットに緑茶の葉と砂糖を沸かして、高い位置からグラスに勢いよく注ぎます。
グラスに入ったお茶をポットに戻し、これを3回繰り返したら完成!
表面が泡だっているのがうまくできた証拠。
煮出してあるのでかなり渋めですが、食後に飲むとスッキリする気がします。
・スープの表現
今回のスープの名前「ハサー」、実はアラビア語で単にスープやブイヨンなどという意味です。
しかし、一般的にスープという場合、同様にスープという意味の「ショルバ」という単語を使うことが多いです(料理本やレシピだとハサーを使っているのを見かけます)。
アラビア語で書かれたリビアの料理本を見ても、この「ハサー」以外のスープは「ショルバ」という単語を使用していました。
が、よく見ると意外な発見が。
一般的にエジプトやシリア、レバノンなどのショルバは、アラビア語で書くと厳密には「シュールバ」と間に母音が入るのですが、リビアのは母音を表記しない「ショルバ」なのです。
(シュールバはスープの意味しかないのに対し、ショルバは飲み物、飲み込むこと、薬の一服など、少し意味は広いです。あくまでも辞書的に、ですが)
おそらく、その表現のゆれに大きな意味はないものと思いますが、試しにグーグルで画像検索すると…。
「シュールバ」
アラブ料理の定番、黄レンズ豆のスープや、野菜スープなどが出てきました。
「ショルバ」
ぎゃっ!今回の「ハサー」のようなスープが主です。
よく見ると、リビア、アルジェリア、チュニジアなど、北アフリカのレシピが多いようです。
こんなにも違うなんて…。
もしかしたら、個人の検索履歴などによって結果は変わるのかな。
まだまだ知らないことだらけ。
そういえば、「スシ」「寿司」「鮨」「sushi」で画像検索したときも、それぞれ全く雰囲気の異なる結果になって驚きました。でも、日本人なら、なんかわかるわ~、という結果のはず。
ショルバもそんな感じかな。
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