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【ミラノ】路地を入る パスタだけのオステリア

更新日:2020年9月21日


そのオステリアを見つけたのは、ほんの偶然でした。ランチをどこで食べようかと考えていたときに、なぜか目にとまって、そして、必ず行かなければ、と猛烈に惹かれたのがこのお店でした。


旅行中の食事は、できればピークの時間帯をはずしてお店を訪れることにしているので、この日もお店が始まる少し前に到着し、頃合いを見計らってお店の扉を開いたのです。

お客さんはまだひとりもいない、静かな店内。

すると奥からジーンズと紺色のセーターを来た小柄なおじさんが出てきて、しきりに腕時計をさし、なにやら話しています。

残念ながら我々はイタリア語がわからず、そしておじさんは英語がわからない。

それでもおじさんは、困る風でもなく、淡々と何かを言っているのです。

少しのやりとりで我々の理解したのは、1時半に席が空くから、ということ。

確信が持てないまま、それでも、なんとしてもこのお店で食べておかなければ、という強い欲望で、町をうろつき時間をつぶしました。


約束通り、1時半。きっかりにお店に戻った我々を、おじさんは何事もなかったかのように席に案内してくれました。


店内は満席。思いのほか通りからの光が差し込む客席には、ひとりのお客さんもいれば、近くで働いているのでしょうか、スーツ姿の男性や、少しフォーマルな服装の女性などで賑わっています。庶民的すぎない、日常に溶け込んだ雰囲気。


ランチタイムのメニューはパスタのみ。

赤いエプロンをしたおばちゃんが、テーブルに来て説明してくれます。

パスタはマケロンチーニとニョッキ。ソースはラグーとジェノベーゼ、そしてゴルゴンゾーラ。

これを好きな組み合わせで頼めるようです。

迷う。迷う、けど、ここはマケロンチーニにラグー、ニョッキにゴルゴンゾーラ。

ジェノベーゼも捨てがたいけど、やっぱりニョッキには濃厚なゴルゴンゾーラのソースが一番だと思うのです。


基本的にランチはパスタだけのようですが、前菜が必要なら生ハムを切ってもらえるみたい。ワインは赤ワインのデキャンタを注文している人がちらほら。

ちなみにディナータイムはパスタ以外にもメニューはあるようです。


今回は前菜もワインもおあずけ。

炭酸水とパンを食べていると、ほどなくしてやって来ました。

ニョッキのゴルゴンゾーラソース。

刻んだピスタチオがかかっています。

もっちりモチモチのニョッキに濃厚なソースが絡みます。

ゴルゴンゾーラのクセのある香りがたまらない。

周りのイタリア人をみると、これにも卓上の粉チーズをかけています。おお、そうか。

複雑なチーズの旨味が絡み合い、ソースが更に濃くニョッキにまとわりつく。大変。まだ口の中にニョッキがあるのに、次のニョッキを食べたくなる。


マケロンチーニのラグーは、安心感のあるいでたち。

しかしながら、見た目以上にパスタがぐにゅっとかみ応えがあり、そして、意外にもあっさりしたミートソース。と思いきや、ぎゅぎゅっと噛むごとにひき肉から味が染み出して、パスタに負けない力強さ。これには当然粉チーズをたっぷりふりかけて。


美味しいパスタなら日本でも食べることができるし、自分でもそこそこ美味しく作れると思うのですが、イタリアで食べるパスタは、なんというか、パズルのピースがカチッと合うような、そんな感動があるのです。

ああ、こういうことだったのか、という風に。

これは日本ではただの一度も経験したことがない感覚。

旅行で訪れると、しかも、食べることが旅行の大半の目的を占めているので、“いいお店”で食べがちで、一方、日本で食べるパスタは、そこまで気合いを入れてお店を選んでいるわけではない場合があるので、比べることはフェアではないのかもしれませんが、やっぱりイタリアのパスタ、すごい。


このお店は、イタリアで食べた数々の美味しいパスタの中でも断トツでシンプル。そして絶品。

こういう素敵なお店が近所にある暮らしっていいな。


Osteria della Lanterna

Via Giuseppe Mercalli, 3, Milano





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