初めてアルメニア、グルジアを旅行したのがは2014年の夏でした。
英語はほとんど通じませんが、なぜか旅行しやすく、グルジアの料理のあまりのおいしさに驚き、清々しいアルメニアの雰囲気にすっかり魅了されました。
あれから4年。幸運なことに再訪のチャンスが到来。今度はもっと深く、もっと料理を楽しみたい。17日間のアルメニア・グルジア旅行の記録です。
好きな国はいろいろありますが(だいたい好きになる)、アルメニアはその中でもダントツに好きなのです。とは言うものの、別に詳しいわけでもなく、特別親しいアルメニア人の友達がいるわけでもなく(知り合いはいますが)、なぜ好きなのかと聞かれると、自分でもなぜだろう、と思うのです。
アラブ料理をやっていると、切っても切り離せないのがアルメニア、ということもあるのかもしれません。
度々訪れるレバノンでも、結局はアルメニア人地区に通ってしまう、アルメニアと聞くとなんだか気になってしまう、そんなこの頃です。
シリアに住んでいたときは、最寄りのバッカーリーヤ(小さな食料品店)のおじさんは確かアルメニア人だった記憶があります。
何度かお世話になったアレッポのとある商人のおじさんもアルメニア人(アレッポは特にアルメニア人が多かった)。
ベイルートで知り合ったアルメニア人たち。
彼らに共通しているのは“ちゃんとしている”こと。
と言うと、なんだか語弊がありますが、混沌としたアラブの生活の中で、彼らの“ちゃんとしている”感は妙に安心感があるのです。
◆◆◆
カイロから首都エレバンに深夜到着した我々は、次の日の午前中をエレバンで過ごし、夕方早々にギュムリにやって来ました。
「ギュムリ」はトルコの国境に近いアルメニア西部のあるアルメニア第2の都市。
第2の都市と言っても、人口12万人程度のこぢんまりした町です。
この辺りの国や地域では古くから民泊が盛んで、一般家庭が余っている部屋を気軽に貸してくれます。
まだネットがなかった時代は、バスターミナルにバスが到着すると、自分の家に泊まれるよ、と、おばちゃんたちがポツポツいたそう。
前回の2014年の旅行でも、宿を事前に予約していない日は、適当な商店などで聞くと民泊可能なおうちを紹介してもらったっけ。
今でももちろんこの方法で泊まることができると思いますが、どこかに泊まることは確実なわけで。あれこれ探したり、ハズレにあたってしまうことを考えれば、ネットで予約できてしまうのはなんとも便利なのです。
思えば私も若い頃、旅の宿は現地で直接探すのがかっこいい、なんて思っていましたが。あはは。
ギュムリの中心部にあるお宅が今日の宿。
同じ敷地内にオーナー一家の建物と、離れがあります。
おばあちゃんの家のような、独特の古めかしさ。国は全く違うのに、なぜか懐かしい気分になります。
小さなキッチンに洗濯機。こういうのが使えるのは民泊のよいところ。
マグカップやお皿も付いているので自炊もできます。ソビエトっぽいデザインの食器があったりして、わくわくします。
オーナー一家はご主人と奥さん、息子さん2人とおばあちゃん。
誰ひとりとして英語は話せませんが、とても気さくで親切な人々。
もっとも、この辺りの国での外国語はロシア語。ロシア語ができれば不自由はしないはずです。
民泊でのお楽しみは食事。頼めば朝食はもちろん、夕食も作ってもらえるのです。
普段の料理、よりはちょっと豪華にはなると思いますが、手作りのそのおうちの味が楽しめるのは何よりのごちそうです。
チェックインを済ませて部屋でくつろいでいると、おばあちゃんが果物を持ってきてくれました。
庭で採れた洋なしやリンゴ、ちょっと固めの柿やプラム。
エジプトにも柿はあるのだけど、ジュクジュクしたタイプで、私が好きなのは固い柿。エジプトに帰った今、毎日でも食べておけばよかったなぁ、とちょっと後悔しています。
町をぶらつき、この日は外で食事を済ませ、早めに寝るとします。
お待ちかねの朝食。も、盛りだくさん!
ディルやバジル、パセリなどのハーブの盛り合わせにチーズ、パンはトーストとアルメニアの超薄焼きパン「ラバーシュ」。
マッシュポテトにメンチカツのようなメインまで。
野菜がおいしい!チーズもおいしい!ちょっと味が濃く脂っこいメンチカツはたっぷりのハーブと一緒にラバーシュで巻いて。
朝から満腹でどうしよう。
夕食はどうする?何がいい?と聞かれ、アルメニアの料理!と答えると、それなら…シャシュリクはどう?あそこで焼けるよ。と、庭の窯を指さすご主人。
も、もちろんです!うわー楽しみ!
ギュムリの町を散策し夕方戻ると、しばらくしてご主人が部屋をノック。
シャシュリク焼き始めるよ!
庭に出ると火起こしが始まっていました。
まずは野菜。トマト、パプリカ、ナスを真っ黒になるまで焼きます。
途中野菜の汁がしみ出してジュジュッと音を立てます。
すっかり黒焦げになり、くったりしてきたら完成。
串から外し、キッチンにいる奥さんに引き継ぎます。
豚のぶつ切りは所々骨付き、皮付きでワイルド。でも骨付きっておいしい。
一口では食べられない大きめサイズがアルメニアのバーベキュー。
くー、いい匂いがしてきた。
肉がだいたい焼けたところで、ジャガイモに豚の脂身を挟んだ串を投入。
豚の脂身、そうきたか。ジャガと脂はベストフレンド。まずくなりようがない。
肉が焼ける頃に、息子さんが持ってきたのはこちら。ラバーシュに生玉ねぎ。
この上に熱々の焼きたて肉をのせてると、ほんのちょっと玉ねぎがしんなりするというわけ。なるほど~。
丸焦げの野菜は皮をむき、トロンとした甘みを楽しみます。
豚肉は…、大げさではなく、今まで食べたバーベキューの中でもダントツのおいしさ。表面はかりっ、中はジューシー。かなり大きな塊なのに、うまいこと焼きますなぁ。
アルメニアのブランデー「アララト」もいただいちゃいました。
私のことを酒飲みと思っている人もいるかもしれませんが、ビールが好きなだけで、強いお酒はほとんど興味がありません、と言うより飲めません。が、アララトをなめて、コーラ、アララトすすってコーラ、アララトコクりコーラ、うわ、おいしい。
くせになりそう。
旅の始まり。おいしいものに出会えそう。
次の記事→「ギュムリの町を一周 市場で素朴な暮らしを垣間見る」
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