世の中で一番おいしいものは、お母さんが揚げているそばでつまみ食いする唐揚げーいつかのラジオで爆笑問題の田中さんがそうおしゃっていましたが(もしかしたらリスナーの投稿に田中さんが激しく同意したのかもしれません)、この「クッベ」も、もしかしたら揚げたてをつまみ食いするのが一番おいしいのかも…。
姉妹げんかをしていた子供達、お母さんがクッベを揚げはじめると、いつの間にかキッチンに来て、ひとつちょうだい!とせがむ、知り合いのおうちでそんな光景を見て、ああ、何だかそういうこともあったなぁ、とノスタルジーに浸るのです。
広くアラブ・中東地域で食べられていますが、特にシリアやレバノンなどのシャーム地方で有名です。
呼び方もクッバ、クッベ、コベイバなど、地域ごとに発音が異なります。
ひき肉とブルグルを使った料理、と説明しましたが、実は米、ジャガイモなどを用いたり、全く肉を使わないものなどもあります。(米のクッベの作り方)
調理方法に関しても、揚げる、焼く、煮込むなど様々。
クッベ・マシュウィーエ(焼きクッベ)、クッベ・ラバニーエ(クッベのヨーグルト煮)、クッベ・スィニーエ(ミンチをクッベ生地で挟みオーブンで焼いた物)など、バリエーションが豊富です。
なんと生で食べる「クッベ・ナイエ」まであります。オリーブオイルをたっぷりかけて。
クッベは大げさではなくその種類は無限とも言えます。
そんなクッベですが、基本となるのが「クッベ・マクリーエ」揚げクッベです。
ブルグルとひき肉の生地で炒めたひき肉を包んで揚げたもの。中級レストランぐらいだと大抵置いてあります。ちなみにこれは前菜です。
シリアなどでは焼きナスとタヒーナのペースト「ムタッバル」と相性がよいと言われています。
材料 ~生地~
牛挽肉(脂がないもの)…160g
ブルグル…200g
玉ねぎ …0.5 個(50g)
クミン… 小さじ 0.5
シナモン …小さじ 0.5
塩、こしょう ~中身~
牛挽肉 …200g
玉ねぎ …1 個
クミン …小さじ 0.5
シナモン…小さじ 0.5
塩、こしょう 油
作り方 ① 生地を作る。ブルグルを水に 7 分浸ける。ざるで水を切り、手でしっかり絞る。
② 生地の材料を全てフードプロセッサーに入れ、滑らかな生地になるまで撹拌する。ボールに移し、蓋を して冷蔵庫に入れ 5 時間~一晩ほど休ませる。
③ 中身を作る。玉ねぎをみじん切りにし、油を熱したフライパンで炒める。しんなりしたら挽肉を加え更に 炒める。スパイス、塩、こしょうで味を調える。
④ 生地を20 等分し、適当に丸める、手に水をつけながら指で袋状にし、挽肉を詰める。ラグビーボー ルのような形に成形する。 ひび割れは指でなぞって丁寧に修正する。
⑤ トレイに並べ、冷凍庫で 5 分(または冷蔵庫に 30 分)ほど休ませる。
⑥ 揚げ油を中温に温め、濃い茶色になるまで揚げる。
生地に使うひき肉は脂身がないものを使ってください。これ、最大のポイントです。
伝統的には羊肉を使いますが、現在では牛肉も普通に使われています。
中身にはパセリや松の実を入れてもおいしいです。
アラブ人の家庭には肉挽き器があることが珍しくありません。
肉を挽くほか、アタッチメントを変えると、クッベ生地が簡単にできます。
日本の家には普通はないよ、と言うと、え、そうなん?でもこれナショナル製やで、と、ほんのり驚いていました。
・揚げクッベとほぼ同じ材料でつくってみよう!
「クッベ・スィーニーエ(プレートの クッベ)」生地を二等分し、オーブントレイに延ばし、炒めた挽肉を上にのせ、その上に残 りの生地を延ばしてナイフで切れ目を入れてオーブンで焼く。
「クッベ・ラバニーエ(ヨーグルトクッベ)」ヨーグルトソースに柔らかく茹でた米(ヨーグルト 1 キロに対し て、スプーン 3 杯ぐらいの米を茹でたもの)、揚げる前のクッベを加え、10 分ほど煮込みます。本来は中身に羊の尾の部分から取れる脂身やクルミを入れるなど多少異なりますが、 手軽にこの揚げクッベを使っても美味しいですよ。
「バーシャー・ワ・アサーキロ」クッベ・ラバニーエとシシバラクが一緒になった料理、つまりヨーグルトソースにクッベと餃子が入った料理。バーシャーはトルコ語起源の言葉「パシャ」で、オスマン 帝国の高官などの称号、アサーキロはアラビア語で軍隊を意味し、「パシャと軍隊」といった、ちょっとお もしろい名前の料理。一説には、シシバラクの餃子の形が軍人の帽子に似ているからだとか。また、シシバラクは世の中の不満を聞くパシャの耳、クッベは軍隊が打った大砲の弾を表していると言う説もあります。この料理はシリア、特にダマスカス料理として知られています。
熱々のクッベ、ぜひお試しを!