餅は餅屋、ならぬ、ケバブはケバブギー。
炭火焼きのお肉は、混み合った専門店で食べるのがやっぱり美味しいのだけれど、もちろん家庭で作られることもあります。
カイロなどの都会の家庭で炭火焼きはそうそうできませんが、オーブンを使って、最後にちょいと炭の香りを付けるテクニックで、お店にも劣らないケバブができるのです。
特に挽肉を使った「コフタ」は、お客さんが来たときなどにもよく作られているよう。(エジプトではコフタ、シリアなどではケバーブと呼ばれます)
炭火焼きだけではなく、煮込みでもよく料理されるのがコフタ。
ケバーブ・ヒンディーやコフタ・ルッズなど、トマトをたっぷり使った煮込みは絶品です。
アラブ料理と言うと、羊肉がメインと思われがちですが、家庭では牛肉を使うことが多いと思います。エジプトでは羊肉は高く、日常の食事に羊肉、という家庭はかなり少数なはず。もっとも、牛肉であってもそこそこのお値段がします。と言うよりも、野菜との価格差が激しいのです。場所や質、季節などにもよりますが、日本だと牛肉100g=トマト1個=コーラ1缶という感覚でしょうか。エジプトでは牛肉100g=トマト3キロ=コーラ3缶ぐらいの感覚です。トマトは3個ではありませんよ。3キロです!
水牛だともう少し安い感覚ですが、いずれにせよ、お肉を日常的に食べられない家庭も多いのです。
話はそれましたが、炭焼きのコフタはとある工夫で家庭でも美味しく作ることができます。炭で焼くわけではないので、厳密に言うと炭焼き風ですが。もちろん炭火風味を付けなくてもおいしいですよ。
材料もシンプル、日本のハンバーグよりも簡単です。
材料
ひき肉…500g
玉ねぎ…100g
パセリ…15g
スパイス… 小さじ 2
塩、こしょう ※スパイスはシナモン、カルダモン、クミン、ドライコリアンダー各小さじ 0.25 ミックススパイス小さじ 1 を使用
作り方
① 玉ねぎはごく細かいみじん切り、又は粗めにすり下ろす。パセリはみじん切りにする。 材料を全て混ぜ合わせ、1 時間程冷蔵庫で休ませる。
② ひき肉を適量手に取り、握るようにして箸などに巻き付ける。箸から抜き取り、オーブン用トレイに並べ る。
③ 200 度に予熱したオーブンで火が通るまで(20 分から 30 分)焼く。
炭火の香りの付け方
耐熱容器やアルミホイルをコフタの中央に置き、直火で熱した炭をのせる。油を少量垂らし、すぐにふたをする。
お肉の他、カブサなどのごはんものでも合いますよ。
ひき肉は牛、羊好みのものを。合い挽きという方法は普通はしません。
網脂でコフタを巻いて焼くこともあります。
これは「タルブ」と言って、ケバブギーでも定番メニュー。
エジプト人のお宅でコフタを作ったときも、ちょこっとタルブを巻いていました。
私は肉の脂が食べられないので、これは苦手なのですが、脂好きにはたまらないのでは。
お肉屋さんで網脂だけを買うこともできるし、既にコフタに巻いたものを買うこともできますよ。
付け合わせは生玉ねぎやパセリなどが合います。玉ねぎは水にさらさずに 食べるのが一般的ですが、玉ねぎの種類によってはさっとさらした方が食べやすいかもしれません。
エジプトだと、たっぷりののパセリやルッコラの上にどーんとのせてやって来ます。なかなか野性的。
ムッチリしたふすま入りのパン「アエーシュ・バラディー」とタヒーナがよく合います。
一方シリアやレバノンあたりだと、コフタ(この地方だとケバブと呼びますが)はちょっと細めに作り、赤ピーマンペーストを塗ったパンや、じっくり焼いたトマトやビーマンなどが一緒に盛り付けてあります。
エジプトよりは全体的に上品です。
ジューシーでしっかりお肉のコフタ。たっぷりの香草と一緒に食べましょう!