サマルカンドの朝は早く、私の泊まった旧市街あたりでは6時ごろには町が動き出していました。
ホテルの朝食前に辺りをちょっとお散歩。
まだ砂が舞い上がる前の、すがすがしい空気。昼間は日差しが強く厳しい暑さなのですが、朝晩はひんやりして気持ちがよい。
小さな工房ではノンづくりが始まっていました。
おはようございます。ノンですね、ちょっと写真を撮ってもいいですか?
と、身振り手振りとわけの分からないロシア語と英語を混ぜたような、小さな会話を交わします。
小分けにしたパン生地を、刃のような物がついた道具で上からぎゅっと押し、少し休ませます。
その生地を手で軽く伸ばし、
ティケッチと呼ばれる、スタンプのような道具でぎゅっと。
油?を塗り、ニゲラと白ゴマを振り、
オーブンへ。ノンはタンドール窯で焼くのが一般的なようですが、ここの工房ではオーブンで焼いていました。タンドール窯がアピールされがちなノン焼きですが(もちろん一般的に使われているのですが)、そうではない、別の一面を見ることができたのは幸運。実際にウズベキスタンのノンは、タンドール窯とこういった普通のオーブンで焼かれるのと、割合はどうなんだろう。
朝の忙しい時間にもかかわらず、快く見せてくれて大感謝です。
サマルカンドで2日間を過ごし、とうとう出発の朝。この日は早朝の電車に乗るので、ホテルの朝食は間に合いそうもありません。せっかくなので、ちょっと気になる料理を出すお店に行ってみました。
ハリーサの専門店です。
ハリーサとは、肉と麦をドロドロに煮込んだペースト状の料理で、この辺りの国では広く食べられている料理です。
建物の隙間を進み、正面のドアではなく左に進むと…。
早朝にもかかわらず、既に先客がいました。これから出勤なのか、いや、もしかしたら夜勤明けなのか、制服姿のおじさん5人。
メニューは特になく、ハリーサをとりあえず注文します。あと、ノンとお茶。
ノンがきました。サマルカンド式のずっしり詰まった生地。調べてみると、サマルカンドのノンは、かなり水分量が少ないよう。とあるレシピでは、いつも私が作っているパンの半分の水分量でした。その水分量で生地を捏ね上げることができるのか。重い、けど、うまい。
きゅうりのピクルスとトマト、と思いきや、トマトもピクルスでした。まろやかな酸味が美味。
お待ちかねのハリーサです。トッピングにはオレンジと黄色の人参、ひよこ豆、そしてサマルカンド名物?真っ黒な亜麻仁油(たぶん)です。(この油については後日詳しく書く予定です!)
むむ、結構、いや、かなり肉だな。ドロドロに煮込んであるので、肉片はないのですが、繊維が肉。そして、麦も入っているのでもちっとしています。これはかなり重い。サマルカンドのノンの重さどころではない。
ハリーサは色々な地域にあるのでこれまでも食べたことはあったのですが、ここまで重いのは初めて。
例えばアルメニアではどちらかと言えば麦のお粥という雰囲気で、豪勢に肉を多めにして作った自作のハリーサは、結局なんだか違うな、と感じた記憶があります。
臓物と米の腸詰。こちらは軽い食感でパクパクいけます。
朝からずっしり重い食事。でも腹持ちもよさそうでこれからの電車の旅にも耐えられそう。
あっという間のサマルカンド。これからタシケントに一旦戻ります。